国内のがんによる死亡者数は増加傾向にあり、近年は年間で37万人を超えている現状です。愛知県においても、年間19,000人を超える県民ががんで亡くなられており、全国と同様、3人に1人ががんで亡くなられています。

がんは長年、我々県民の命を脅かす脅威であり続けておりますが、一方で、医療の進展に伴い、がんの診断・治療技術も年々進歩してきており、がんの5年生存率は66.4%と、生存率は改善傾向が続いています。

現在、日本人の死因の第1位となっているがんの治療成績の向上は誰もが望んでいるところでありますが、がんの治療法として、手術療法、放射線療法、化学療法に続く治療法として免疫療法が脚光を浴びておりますが、がんゲノム医療は、治療方針決定の羅針盤とも言えます。

これまでのがん医療では、胃がんや乳がんといったがんの種類別に治療法や薬が選ばれていましたが、がんゲノム医療は、主にがんの組織を用いて、多数の遺伝子を同時に調べ、遺伝子変異を明らかにすることにより、一人一人のがん罹患リスクの評価から予防につなげたり、がん種にかかわらず有効な可能性のある治療薬を選択したりする医療であり、がんの新しい治療方法として注目され、個別的な予防や効果的な治療が期待されております。

平成30年2月には、名古屋大学医学部附属病院ががんゲノム医療中核拠点病院と指定され、さらに、令和元年9月には、愛知県がんセンターが愛知県内で唯一のがんゲノム医療拠点病院の指定を受けたところであります。

そして2022年4月にはゲノム医療センターを設立し、「がんゲノム医療室(がんゲノム外来)」と「リスク評価室(遺伝カウンセリング外来)」を構成。がんの遺伝子を調べ治療につなげることや、がんの発症リスクを評価し予防につなげています。

今後、県民の皆様に高度で良質ながん医療を提供していくためにも、がんゲノム医療のさらなる充実、体制強化が必要と考えています。

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