自動車の製造を中心とした本県のものづくり産業は、日本の経済を牽引し続けています。2020年の製造品出荷額等は43兆9,880億円であり、1977年以降44年連続で全国1位です。しかし、デジタル化による大変革の波は、日本経済をものづくり産業においても大きな影響を及ぼしており、日本はデジタル化の遅れによる国際競争力の低下が大きく懸念されています。

1990年初頭から2020年頃にかけて、日本のデジタル産業が凋落の一途をたどる一方で、現在、世界ではデジタル新技術やビジネスモデルが創出され、GAFAMをはじめとしたIT企業が世界経済を席巻しています。

また、近年ではメタバースに加え、ブロックチェーン技術にもとづくweb3という概

念が生まれ、資産価値の取引として使われるNFTなど新たな技術の活用が期待されています。

現在、国では「デジタル田園都市国家構想」を掲げ、デジタル技術を用いて日本全国で質の高い生活を実現するべく取り組んでいます。本県においても、ものづくりが支えた産業集積の土壌とスタートアップの集積地として期待されるSTATION Aiを軸にしたデジタル産業とを掛け合わせて、次の産業構造の中心地を目指すべきであります。

そのためにも、まずは行政機関のDX化を図り、県有財産を使った実証実験の場所の提供を推進するほか、民間事業者と協働できる人材の確保・育成・成長を促進する必要があります。さらに、スタートアップ企業及びベンチャー企業の合併買収が多く行われる産業構造をより活性化させるために、関連企業などに対して税制上の優遇措置をはじめとしたメリットを与えるべきであります。

また、世界中の人材を本県に呼び込み、多くの技術者やエンジェル投資家、ベンチャーキャピタルの活動拠点となるよう、起業や移住に対する支援を行うべきです。そして本県に活動拠点を置く企業や人材がよりシームレスに活動を繰り広げるために、行政機関等が保有する公共データを、オープンデータ化しやすい環境を整えるべきと考えます。

これらの政策を通じて、人や情報、投資を国内外から呼び込み、ものづくり産業とスタートアップとの新たな協業を生み出すことで、本県がイノベーションの聖地となるよう目指してまいります。

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